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温泉や入浴は身体に良いといわれていますが、その効果は科学的にも説明が十分つくものです。その効果や作用メカニズムをよく知ることは、温泉や入浴の正しい利用法にもつながります。


入浴の温度は人によって好き好きですが、体温に近いぬるめの温度なら、心の落ち着きをもたらし、神経の働きもバランスがとれてきます。また、温められることで身体のすみずみの小さな血管が拡がるため、心臓の負担は軽くなり、血圧も下がります。血行が良くなり、酸素や栄養が身体のなかにいきわたります。同時に疲労物質や余分な成分は排出され、血液もきれいになります。関節や筋肉の弾力性も増し、関節の痛みや筋肉のこりもやわらぎます。また冷え症や夜間の尿回数を減らし、寝つきもよくなり、深い睡眠に誘います。

水中では水の浮力のために体重が1/5〜1/6に、つまり60kgの人なら約10kgくらいになります。したがって手足のマヒや腰痛、関節痛のある人も、温水や水の中ではより楽に身体を動かせます。また身体がフワフワと軽くなる浮遊感は筋肉の緊張をとり、お母さんの胎内での記憶とも結びついて心身をリラックスさせるのです。一方、水中での運動は水の抵抗により筋力を高めることになり、さまざまなリハビリテーションに利用されます。

水中では周囲からの水圧が血管やリンパ管を圧迫し、中の血液やリンパ液は心臓に戻りやすくなります。このことは足のむくみを減らし、心臓から送り出す血液の量を増やし、温熱で血管が拡がることとあわさって、全身の代謝を盛んにしてくれます。ただし、心臓や呼吸器の弱い人は水圧で息苦しくなるので、胸下までの浅めの入浴をすすめます。その他高い所からの落下の水圧を利用した打たせ湯は筋肉のマッサージ効果があります。また高圧の水流や気泡を出す方法は、皮膚の知覚を刺激することでマッサージ効果を強くします。
 
食塩泉やみょうばん泉などの温泉中に含まれる種々の塩分は皮膚について薄い膜をつくるため、体内の熱が逃げにくく、最も大切な温熱効果が長く続きます。つまり温泉が湯冷めしにくい理由です。また温泉水中の炭酸ガスや硫化水素ガスは、皮膚から簡単に入り血管を拡げ、血流を良くします。ただし塩分は皮膚から吸収されて全身に影響を与えることは少ないようです。また、ある種の皮膚病に効く温泉や温泉水を飲む場合という限られたこと以外では、どの温泉が何の病気に効くという決められた作用はそう大きいものではありません。つまりどの温泉も温熱や水圧の作用を通して、ほぼ同じような高い効果をあげるわけで、泉質だけが影響するのではないのです。

山岳や高山の温泉地:空気中の酸素が少ないために血液成分が増加し、また脈拍数や呼吸数も増え、心肺機能が高まります。また寒冷の刺激も心身を刺激し、爽快感を高めます。
海辺や湖畔・河畔の温泉地:特に海辺ではオゾン濃度や日光(紫外線)による刺激作用が心身を強化します。湖や川、滝のある所は水粒子がマイナスイオンを帯び、心を鎮める効果があるともいわれます。
森林地帯の温泉地:森の静けさと木々の緑、花、鳥の鳴き声などが精神を安定させます。また森林浴の名もある通り、植物から放出された殺菌作用のあるフィトンチッドという芳香成分や酸素にあふれた清浄な空気でより快適になります。



  入浴効果をさらに高めるため、次のような使い分けも大切です。


微温浴とは36〜38℃の体温に近いぬるめの湯に入浴することです。したがって長時間の入浴が可能で、刺激が少なく、精神をおだやかにし心身の過剰な興奮を抑えます。昔は「夜詰めの湯」といって、体温と同じ36℃の温泉に8〜10時間も入る方法もあったくらいです。
ストレスのたまっている人や不眠、動脈硬化の人に適し、また足腰が痛む人が浴槽中で軽い運動をするのにも向いています。脳卒中後のリハビリにも、微温浴が利用されます。
心臓の負担が減り、血圧は下がり、筋肉のこりや関節の痛みをやわらげてくれます。

42℃以上の湯に入浴することを高温浴といいます。日本人は熱い湯を好みがちですが、高温浴は神経を緊張させて、血管が縮まり、血圧の上昇や心臓の負担を増し、脈の乱れも出やすくなるので、高血圧や心臓病の人には良くありません。神経もたかぶらせ、全身の活力が盛んになるため疲れやすく、夜の入浴には適しません。
高温浴は体温が過剰に上昇し、血管も拡がりすぎるため浴後の血圧低下やめまいも起こりやすくなります。血液が濃くなるため脳血栓や心筋梗塞もおこりやすくなり、一般にはすすめられません。
一方、熱めの風呂にサッと入ったり、シャワーを浴びると心身を刺激して引き締めてくれます。朝の仕事にかかる前や会議前に短時間の利用は有用です。
草津の「時間湯」は46℃の超高温に3分間入浴という特殊な方法です。皮膚からの熱刺激が、リウマチ、神経痛、種々の皮膚病に有効ですが、十分な指導・監視がないと危険です。

入浴前に、身体を清潔にするためだけでなく、その温度に身体を慣らすために行います。
ふつう10杯くらいの湯を頭からかぶる「かぶり湯」が、頭、つまり脳の湯温への慣れをつくるためによいといわれます。

打たせ湯は、温熱と水圧のマッサージ効果によって、その部分の血行を促し、筋肉のこりをやわらげます。別名、湯滝、湯の滝、あるいは文字通り湯あんまともいいます。
立ったり、座ったり、寝たりして当たる水の圧力を加減します。頭は打たせないようにしましょう。

砂浴は別名、砂蒸し、砂湯、砂臥湯ともいわれます。温泉が湧き出している海岸の熱い砂を掘り、そこに寝て、身体に砂をかける方法です。指宿温泉の砂浴は全国的にも有名です。
50℃〜60℃の砂温と温泉成分、砂の重みによって、手足や内臓の血液が心臓へ帰りやすくなり、心臓から送り出す血液量が明らかに増加します。
血液循環が盛んになり、多くの酸素や栄養素を身体のすみずみまでいきわたらせ、一方疲労物質や余分な成分を取り除き、血液をきれいにすることによって、腰痛や神経痛、筋・関節痛を改善するのです。また食塩泉の影響で湯冷めを防ぎ、美肌効果もあります。しかし心臓や呼吸器の弱い人には砂の重さで息苦しくなり、良くありません。
泥浴や鉱泥浴は温めた温泉の鉱泥に直接入るものと、身体に厚く塗って毛布などで身体を包む方法があります。保温効果と美肌効果が強く、リウマチや神経痛によく用いられます。

蒸し湯は天然の温泉の蒸気、あるいは湯の蒸気を小さな浴室や箱に送りこむ、湿った熱気浴です。天然のものは栗野岳温泉が有名です。サウナは重油や、ガスで石や鋼管を熱したり電熱で熱せられた室に入る、乾いた熱気浴です。
50〜60℃の高温の蒸気、あるいは60〜100℃の熱気により身体を温めるもので、その効果や注意は温泉や入浴と同じです。最も異なるのは水圧による締めつけがないことで、そのため特に頭を外に出して行うと心臓や呼吸器の弱い人にも有効です。
蒸気浴、サウナとも室に入るタイプのものは温度が高いと息苦しく、高血圧や心臓、呼吸器の弱い人には良くありません。息苦しさのない範囲で利用し、我慢して汗を絞り出すような入り方はやめましょう。
一般に高温のものが多く、発汗も多いので、浴後の水分補給を十分にしましょう。サウナの後の水風呂は急激に血圧を上昇させ危険です。特に高血圧や心臓病、健康に不安のある方は、さけたほうが良いでしょう。

文字通り温泉水を飲む方法ですが、飲泉許可をとっている温泉地で、注意書きに記されたことを守って飲みましょう。
アルカリ泉は胃酸過多や胃潰瘍、通風に、酸性泉は低酸性胃炎に、硫酸塩泉は便秘によいといわれています。しかし心臓や肝臓病の人は水や塩分の過剰摂取に十分注意して控えめにしましょう。

温泉水のしぶき、あるいは超音波などで微粒子にして吸入する方法です。
重曹、食塩、硫化水素などの吸入は、痰を溶かしたり軟らかくしたりしますので、呼吸器の弱い人には効果的です。



温泉の浴場には、通常「温泉分析表」が掲示され、温泉の効能が期待される適応症と温泉を利用してはいけない禁忌症も示されています。しかし温泉の効果はその泉質よりも主作用の温熱効果とその他の作用の総合的効果として生じるもので、温泉分析表だけでは適応症は決められない、あるいはどの温泉もそう大差ない効果を持っているといえます。したがって効能書にあまりこだわらず、禁忌症に注意することが大切です。




ときには家族や仲間と泊りがけで温泉地に出向き、生命の、人生の深呼吸をしてみましょう。


海辺の温泉地は夏が涼しく冬暖かく、紫外線、オゾンも豊かで、アレルギーの原因にもなる花粉やちりもありません。
山や高原の温泉地では、澄んだ大気と低温の空気が身体を刺激します。
森林地帯の温泉では、洗浄な空気と緑、樹精の香り、快い静けさによって、緊張から解放されます。
その他、広々とした海や美しい山々、青く澄む空、輝く星空、吹き渡る風などの大自然のいやしの力も大きいものがあります。

 
春は、入学や就職、転勤や定年など、人生の大きな節目となる季節。桜や桃などの花々や新緑の中で温泉に浸ることで家族、友人との絆を深めましょう。
夏は、蒸し暑さを避け、心身を鎮めるマイナス空気イオンの多い山や高原、涼しい風の吹く海辺や渓流の温泉地を訪れてみましょう。
秋は夏の疲れをとり、体調を整えて冬にそなえましょう。紅葉の美しい、秋晴れの高原温泉や秋の味覚を楽しみましょう。
冬は寒さや年末の忙しさで疲れやすく風邪をひきやすい季節です。お正月休みに家族で温泉地に出かけ、休養するのもよいものです。
いずれの季節も、温泉地周辺の自然の観察や、文化遺跡めぐり、また特産の味覚を味わうのも大きな楽しみの1つです。

せっかく温泉に行っても宴会、夜ふかし、翌日早朝の出立では疲れに行くようなものです。あまり多くの行動を組みこまないで、できれば3〜4日の余裕のある日程を組みましょう。
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